9.4 スケジューリング

Sくん
いよいよ作りはじめですか?
M先生
あとちょっとだ.次は「 スケジューリング 」をしよう.
Tさん
具体的にどんなことを考える必要がありますか?
M先生
大体次の3点だと思えばよい.

  1. 何をどのような手順で作るか?
  2. どのくらいの期間で作るか?
  3. 誰がつくるか?

Sくん
1人で作品を作る場合は,3番目はいりませんね.
M先生
まあ,そういうことになるけど,1番目と2番目は1人で作品作りをする場合でも重要だよ.
Sくん
何をどのような手順で作るのかについては,どんな事を書けばいいんですか?
M先生
どのような順番で作品作りを進めていけばいいかを考えて,作業を分解していくとよい. ポイントは,ゲームの中心となる部分をなるべく早い段階で作ってしまうことかな. 時間が余ったらやりたいことは後の方に回しておけばよい.
Tさん
優先順位を考えるってことですね.
M先生
あとは,テストが簡単に出来るかについても考える必要がある.スタートボタンやリセットボタンをはやめに作っておけば, テストが楽になるよね.
Sくん
なるほど.
M先生
また.スケジュールの大きな区切り目にチェックポイントを設けておくとよい.これを「 マイルストーン 」という.
Sくん
なぜそのようなものが必要なのですか?
M先生
作業を進めていくうちに,順調に進んでいるかをチェックする必要があるよね. マイルストーンが立っていれば,そのチェックがやりやすくなる.また,計画を立てるときにはマイルストーンから決めるとやりやすい.
Tさん
例えば?
M先生
そうだね.締切りから逆算してスケジュールを立てるなら,締切りの1日前には完成しておきたいと考える. そうすると,「ひとまず完成」というマイルストーンは締切り日の一日前になるね. そうやってどんどん逆算していけば,ある程度のスケジュールの骨組みはできるだろ?
Sくん
なるほど.
M先生
あとは分担を決めよう.作業手順が決まれば,同時平行で進められる作業が分かるので, 分担を決めるのも楽なはずだよ.

1時間後.....

Sくん
先生,できました.
Tさん
作業手順書はこうなりました.

1. オブジェクトの描画

	1.1 水槽の絵を描く
	1.2 金魚の絵を描く(アニメーション用に2種類用意する)
	1.3 ポイの絵を描く
	1.4 おけの絵を描く

2. プログラミング

	2.1. 金魚のスクリプト作成
		2.1.1 ひれを動かすアニメーションを作る
		2.1.2 金魚が泳ぐようにする
	
	2.2. スタート,リセットボタンの作成
		2.2.1 スタートボタンを押すと,ゲームが開始できるようにする
		2.2.2 リセットボタンを押すと,ゲームがリセットできるようにする
	
	2.3. ポイのスクリプト作成
		2.3.1 ポイをマウスで動かせるようにする
		2.3.2 ポイをクリックで水に浸せるようにする
	
	2.4. 金魚をすくうスクリプト作成
		2.4.1 金魚をポイで捕まえられるようにする
		2.4.2 ポイを使っておけに金魚を入れるようにする
		
	2.5. 耐久度バーのスクリプト作成
		2.5.1 耐久度を表示するバーを描く
		2.5.2 ポイが水に使っている時に耐久度を減らすようにする
		2.5.3 耐久度が0になるとポイが破けるようにする

Sくん
スケジュール表はこうです.真ん中に矢印が描いてある部分は二人で協力して作業する予定です.マイルストーンは3つ設定してみました. 図で「MS」と書いてあるのがそうです.

M先生
いいね.作業手順を考えるということは広い意味でのプログラミングだ. 運動会や演奏会で配られるスケジュールのことをプログラムっていうでしょ?じゃあ,ポイントを整理しておこう.


「やってみよう!」

作品づくりの作業手順書とスケジュール表を作りましょう.