3.2 ディレクトリとツリー構造
ファイル一覧の表示
先週はemacsによるファイルの作成,保存等について学習しました.先週の実習では扱ったファイルの数が少なかったため,ファイルの区別をする際に困ることはありませんでした.しかし,扱うファイルの数が増えてくるとそうはいきません.このようなときはどうしたらいいでしょうか.
emacsではこのようなときのために,保管されているファイルの一覧を表示することが出来ます.
- C-x d と入力するか,マウスを使って[Files]→[Open Directory ...] と選択します.
- ミニバッファに Dired (directory): ~/ と表示されますのでそのままEnterキーを押します.
- そうすると次のようになります.
- 種別
- 通常のファイルは '-',ディレクトリは 'd' と表わされます.
- アクセス権
- そのファイルを誰が読み書きできるかということです.次週詳しく説明します.
- 参照数
- そのファイルがディレクトリのエントリになっている回数です.
- 所有者
- 普通はそのファイルを作成したユーザが表示されます.
- 大きさ
- そのファイルの情報量を表わします.単位はバイトです(情報量については次週詳しく説明します).
- 更新日
- そのファイルが最後に変更された日です.
- ファイル名
- 自分で作るファイルには好きな名前を付けることができますが,日本語はソフトによって扱い方が違ったりしますし,記号の多くは特別 な意味で使われます.アルファベット,数字,'-', '.' だけを使うのが無難です.
ディレクトリ
上で説明した方法で,たくさんのファイルの一覧を表示させる事ができます.しかし,扱うファイルの数がどんどん増えてくるにしたがって,ファイルの一覧を表示しても一画面に収まらなくなってきます.また例え一覧を表示させたとしても,たくさんのファイルの中から自分の必要とするものを見つけるのは大変です.
例えば下のようにファイルが並んでいたらどうでしょう.この中から目的のファイルを探すのは大変ですし,どこに何があるのかよく分かりませんね.
では,次のようにファイルが「意味のまとまりごと」に分類されていたらどうでしょう.
上の場合と比べると格段にファイルを探しやすくなりました.たくさんのファイルを意味のまとまり毎に整理するための引出しのようなものがあると,ファイルの管理が楽になります.
このファイルをいくつかまとめてしまっておく引き出しのようなものをディレクトリ(directory)と呼びます.
- CNS では,各ユーザにそれぞれホームディレクトリ (home directory)が割り当てられています.最初にログインした時は,そのホームディレクトリに位置しています(「位置している」という意味は後で説明します).この状態では作ったファイルは特に指定しない限りその中に記録されますので,他の人のファイルと混ざる心配がありません.
- 各自のホームディレクトリには,emacsのようなソフトウェアの設定などのためのファイルやディレクトリが既にいくつか用意されています.誤って消したり編集してしまわないように注意しましょう.
- ホームディレクトリの中に好きな名前のディレクトリを作り,ファイルを目的別や種類別に整理することができます.
● 練習問題
emacsで自分のホームディレクトリのファイルの一覧を表示し,その中にどのようなディレクトリがあるのか調べてみましょう.
ツリー構造
ディレクトリの中にはいくつかのディレクトリを入れることができ,その中には,さらにまたディレクトリを入れることができます.外側の大きい方のディレクトリを親ディレクトリ,中に入っている方を子ディレクトリ,またはサブディレクトリと呼びます.これを絵に描くとき,例えば directoryA の中に directoryB とfile3 があるとすると,directoryA の下に directoryB と file3を書いて,線で結びます.さらにdirectoryB の中に入っているファイルも同じようにして書いていきます.すると,木を逆さにしたような形になるので,これをツリー構造(tree structure)と呼びます.根にあたるところ(図では一番上)に一番大きなディレクトリがあり,そこから枝別れするところにディレクトリがあり,そして葉にあたるところには通常ファイルがあります.これは次に説明するファイルパスを理解する上で必要になる重要な概念です.