4.4 OSの機能

OSの機能について、もう少し具体的に見てみましょう.その前に、簡単にソフトウェアが実行される仕組みについて説明をします。コンピュータにはCPU(Central Processing Unit)と呼ばれるコンピュータの頭脳に相当する演算装置と記憶装置があります。ソフトウェアを実行する際には記憶装置の中に記憶されているソフトウェアの情報をまず読み出して,それをCPUが実行しています.

基本的にCPUは一度に一つの仕事しかできません.私たちがコンピュータを利用する時、たえず1つのことしかコンピュータにさせなくてもすむのならば、何ら問題はありません(シングルタスクと言います).

しかし実際私たちはメールを書きながら音楽CDを再生したり,また裏では絶えず時計が動いていて,現在時刻を表示しさせていたりして,コンピュータに一度に大量の仕事をさせています.コンピュータが同時に複数の仕事をする(=複数のソフトウェアを実行する)ことを「マルチタスク」などと呼びますが,一度に一つの仕事しか出来ないCPUはどうやってこのマルチタスクを実現しているのでしょうか.

これを実現する上で重要な役割を果たしているのがOSです.一つの仕事しかこなせないCPUを一つのソフトウェアの実行の為だけに占有させるのではなく,CPUが複数のソフトウェアの実行を少しずつ行えるように仕事の割り振りを行っているのがOSです.

例えば,メールソフトとブラウザとテキストエディタの3つを同時に起動していたとしましょう.するとOSはまずメールソフトのある少しの部分をCPUに実行させ,続いてブラウザのある少しの部分を実行させ,というふうに,あるソフトウェアの実行を少しだけしては別のソフトウェアの実行を少しだけするという繰り返し,そしてその切り替えを高速で行うことで,複数のソフトウェアをあたかも同時に実行しているようにみせているのです.

このような方式を、タイムシェアリングシステム(時分割方式)と呼びます。OSは、複数の仕事を少しづつ高速なCPUに実行させることによって、マルチタスクを実現しているのです。