1.4 レビュアーとしての心構え

あるチャートが「読み手に誤解を与えず,理解しやすい」チャートかどうかを判断するためには,レビュアーは常に意地悪な チャートの読み手でなければならない.チャート作成者の意図を必要以上に汲み取ろうとすることは,チャートの作成者と 対話的なレビューと改善作業が行える場合は推奨できる.なぜなら,レビュアーの質問によって作成者の意図を明確にし, それを的確にチャートに反映できるようにアドバイスすることができるからである.

しかし,作成者の意図が確認できないような場合(提出された課題のレビュー等),レビュアーが 記述の意図を汲み取ろうとしなければ理解できないようなチャートは,既に「読み手に誤解を与える」可能性があるといえる. レビュアーはチャート作成者の意図を勝手な解釈で読み取ることを避け, チャート上に表現されている記述だけを対象に「読み手に誤解を与えず,理解しやすい」かどうかを調査する必要がある.

図 1.4.1 記述の意図を予測するばかりではレビューが進まない

これは特に,不良を指摘して分類する時に留意すべき事柄である. 逆に,不良の原因を分析して対処案を提示する時には, 作成者の意図をある程度予測しなければ,原因や対処案を提示することは難しいだろう. 重要なのは,レビューの最初の段階では,作成者の意図を汲み取る姿勢を見せないでチャートを調査することである.