5.2 コンピュータネットワークとは
第1週でCNSはインターネットすなわち,コンピュータネットワークの一つであるといいました.ではコンピュータネットワークとはどういうものなのでしょう.
パソコンのような個人で使用しているコンピュータと違い,皆さんが使っているCNSのコンピュータは常時他のコンピュータなどと接続され,コンピュータネットワークを形成しています.
例えば,特別教室のコンピュータでも,メディアセンターにあるコンピュータでも,CNS内であればどのコンピュータでログインしても,自分のホームディレクトリがあり,以前作成たファイルが残っているというように,どこでも同じように使えるのも,このコンピュータネットワークのおかげであると言えます.
コンピュータネットワークには大きく分けて次の2種類があります.
- LAN (Local Area Network)
- CNSのように同じ敷地の中にあるコンピュータ同士を結んでいるコンピュータネットワークのことです.
- WAN (Wide Area Network)
- LANに対して,長距離回線で遠くのコンピュータと結んだネットワークのことを指します.インターネットは複数のネットワークを結んだWANの一種と言えます.
つまりCNSのネットワークはLANであると同時に,他のコンピュータネットワークと繋がりインターネットというWANの一部を構成していることになります.
図のようにキャンパス内にあるほとんどのコンピュータはCNSというコンピュータネットワークに接続されています.個人の所有するラップトップコンピュータもLANコンセントや無線LAN基地局を通じてネットワークに接続することが可能です.CNSにはコンピュータだけでなくプリンタや他のネットワークなどとも結ばれています.
ネットワークに繋がっているコンピュータであればどれでも同じように使えるだけでなく,ネットワークに繋がっている他のコンピュータにリモートログインして利用したり,プリンタを遠隔利用したりすることもできます.
リモートログイン
CNSの中には様々なコンピュータがあります.それぞれを区別するために全てのコンピュータには名前がついています.皆さんが演習で使っている特別教室のコンピュータにも「zux」とか「zxp」の後に番号の書かれたラベルが貼ってあり,これらがコンピュータの名前となります.
注意
特別教室のコンピュータはUNIXとWindowsの2台が一つのディスプレイ,キーボードで操作できるようになっているので,名前も別々になります.同じ座席でもUNIXのほうを使用する時は「zux***」,Windowsのほうを使用する時は「zxp***」という名前になります.
自分がログインしているコンピュータの名前を調べてみましょう.調べるにはhostnameコマンドを使います.
% hostname zux999 |
CNSでは,どのコンピュータでも同じホームディレクトリが使えるので,あまり必要はありませんが,中にはそのコンピュータでしか使えない特別な機能を持ったものもあります.例えば第1週目でやったメールのパスワードの設定はメールサーバと言う特別なコンピュータにログインしないとできない作業でした.このように手元にないコンピュータを遠隔利用したい時に使うのがリモートログイン(Remote Login)という方法です.
この他にも次のような時に,リモートログインという方法を使います.
- コンピュータによっては使えないアプリケーションがあるが,別のコンピュータのところへ行くのが面倒な時.
- 直接ログインできないコンピュータ(ccz01など)を使いたい時.
- CNS 以外のコンピュータ(研究室所有や自宅のコンピュータ)から CNS のコンピュータを使いたい時.
リモートログインするには sshコマンドを使い,下のようにリモートログインする先のコンピュータ名を指定します.以下練習では
- κの教室の学生はccz00へ
- εの教室の学生はccz01へ
- ιの教室の学生はccz02へ
- οの教室の学生はccz03へ
ログインしてください.
% ssh リモートログインする先のコンピュータ名 The authenticity of host 'ccz00 (133.27.4.210)' can't be established. RSA1 key fingerprint is 14:c2:5e:ec:89:cc:f8:e9:ea:33:d8:4d:b2:22:58:22. Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? yes Warning: Permanently added 'ccz00,133.27.4.210' (RSA1) to the list of known hosts. t02000tf's passwd: |
しばらくしてから上のように何か聞かれますから, yes と答えてください.そうするとパスワードを聞かれますので,自分のパスワードを入力すればログインできます.
現在そのコンピュータにログインしているユーザを表示させることもできます.例えば,リモートログインしている最中に, who と入力すると,そのコンピュータにログインしているユーザの一覧が表示されます.
% who s01000hf pts/1 5月 15日 12:48 (zz100) t99000tf pts/2 5月 15日 15:40 133.27.4.232 t00999xx pts/3 5月 14日 00:31 (impc002) |
表示されるのは,ユーザ名,コンピュータ名,ログインした時刻,リモートログインの場合は元のコンピュータ名(またはIPアドレス(→5.3参照))です.
コンピュータを使った後は,必ずログアウトしなければいけないのと同様,リモートログインしているコンピュータでも使い終わった時にはログアウトする必要があります.ログアウトするには,リモートログインをした端末ウィンドウで logout と入力します.
% logout Connection to ccz00 closed. |
そうすると上のようにコンピュータへの接続が終了したというメッセージが表示されます.
● 練習問題
隣の人と組みになり以下のことをやってみましょう.
- リモートログインする人とされる人に分かれる.
- リモートログインする人は隣の人のコンピュータ名を調べ,そのコンピュータにリモートログインする.
- リモートログインした人はログインできたかどうかhostnameコマンドで確認し,さらにそのコンピュータに誰がログインしているか調べる.
- リモートログインされた人も自分のコンピュータにログインしている人が誰なのか調べる.
- リモートログインした人は,そのコンピュータにログインしているもう一人の人(=隣の人)にメッセージを送ってみましょう.
メッセージを送るにはwriteコマンドを使い,相手のログイン名を指定して使います.% write s02000hf
一通り練習が終わり,リモートログインしたコンピュータからログアウトしたら,相手と役割を交替して同じことをやってみましょう.
ネットワークプリンタ
特別教室やメディアセンターなどに設置されているプリンタは一般のプリンタと違い,コンピュータネットワーク内のどのコンピュータからでも使える,ネットワークプリンタになっています.そのため一つ一つのプリンタにはコンピュータ同様名前が付いており,この名前を指定すれば,特別教室にいながらメディアセンターのプリンタを使って印刷し出力したりすることもできます.
CNSにはモノクロプリンタとカラープリンタの2種類があります.モノクロプリンタは一人年間500枚まで無料で印刷できますが,カラープリンタは一枚につき30円の料金がかかります.カラープリンタについてはITCのページを参照してください.以下ではモノクロプリンタについて説明していきます.
各プリンタの番号と配置場所はこちらを参照してください.
Unix環境でのプリンタの使い方
プリンタが印刷するデータ形式には何種類かありますが,CNSのプリンタは,すべてポストスクリプト(PostScript)形式のデータを印刷するようになっています.ですから,テキストファイルを印刷するときは,テキストをポストスクリプトに変換しなければなりません.
- ポストスクリプト形式への変換
テキストファイルをポストスクリプトに変換するためには次のようにします.
% a2ps ファイル名 > 変換先のファイル名(.ps という拡張子をつけておく) --------- 例 ----------- % a2ps report.txt > report.ps
- プリンタの状況を調べる
プリンタが正常に動いているかどうかや,印刷の順番待ちの状況が表示されます.Job欄の数字(ジョブ番号)は印刷を取り消すときに使います.
% lpq -Pプリンタ名 --------- 例 ----------- % lpq -Pnps13 Tue Jun 25 17:37:20 2002 Starting job Rank Owner Job Files Total Size active s02000hf 507 test.ps 637611 bytes 1st t99200mk 508 syllabus.ps 254461 bytes 2nd t02000tf 509 report.ps 521232 bytes
- 印刷する
印刷するには次のようにします.
% lpr -Pプリンタ名 ポストスクリプト形式のファイル名 --------- 例 (ο17の特別教室のプリンタで出力する場合)----------- % lpr -Pnps1 report.ps
- 印刷を取り消す
印刷を取り消すには lprm コマンドを使い取り消したいJob番号を指定します.
%lprm -Pプリンタ名 取り消したいJob番号 --------- 例 nps13 の 509の印刷を取り消したいとき----------- %lprm -Pnps13 509 prn13: dfA050zux100 dequeued prn13: cfA050zux100 dequeued
ジョブ番号の代わりに自分のログイン名を指定すると,自分が出した要求がすべて取り消されます.
%lprm -Pnps13 t02000tf prn13: dfA051zux100 dequeued prn13: cfA051zux100 dequeued
- 自分がこれまでに印刷した枚数を調べる
今までに何枚印刷したかを調べるには printer-acctコマンドを使います.
% printer-acct ========== check_printer_account ========== login name : t03000tf , name : 藤沢 太郎 at present of Sun May 4 0:06:33 Japan 2003 SERNO NAME nps1 nps2 nps3 nps5 nps12 nps13 nps14 Total 4209 t03000tf 98 40 18 4 41 42 9 252 at present of Sun May 4 0:06:33 Japan 2003 ColorPrinter color1 Total 3 3
これまでにどれだけ印刷したか,モノクロ / カラー別,プリンタ別の枚数と合計枚数が表示されます.
注意
printer-acctコマンドで表示される情報は1日に1回しか更新されないので必ずしも最新の状態を表示しているとは限りません.
CNSのプリンタを利用した場合,翌日に前日の利用状況が電子メールで届くようになっています.詳しくはITCのページを参照してください.
注意
個人がCNSのプリンタを使って印刷できる枚数は年間500枚までとなっています.500枚を超えた場合は,1枚につき5円の料金が取られるので注意すること.
Windows環境でのプリンタの使い方
使用しているソフトウェアにもよりますが,メニューから印刷を選択するとだいたい以下のような画面が現れます.(下の例はNetscape で印刷を行う場合です.)
出力したい先のプリンタの番号を指定して「ok」を押すだけで印刷ができます.