2.4 電子メール
電子メール(electronic mail)は,コンピュータネットワークを使って文章などを相手のコンピュータに届ける仕組みです.省略して単にメールということもあります.電子メールを使うと,キャンパス内だけではなく,インターネットを通して世界中のいろいろな人とコミュニケーションを取ることができます.
SFCでは学生・教員・職員全員が電子メールを使うことができ,主に以下のような用途に活用されています.
- 授業における宿題,レポートの提出
- 先生への質問など
- アドグルやサークルの連絡
- 個人的なおしゃべり
電子メールを使う上で必要なもの
(1) メールアドレス
普通の手紙と同様,電子メールにも宛先があります.この宛先のことをメールアドレス(mail address)といい,ユーザー名と組織名を @ で繋いだ形で表されます.
SFCの場合も同様で,例えばユーザ名がt03000tfの場合のメールアドレスは
t03000tf@sfc.keio.ac.jp
となります.
- @より右のsfc.keio.ac.jpというのがドメイン名と呼ばれ,所属する組織の名前を表しています.
sfc = SFC,keio = 慶應,ac = 学校(academic),jp = 日本(Japan)を意味します.ドメイン名については「第5回 コンピュータネットワーク」で詳しく説明します. - @より左のt03000tfというのはこの組織におけるユーザー名すなわちログイン名です.
(2) メールサーバ
手紙のやり取りは必ず郵便局を通して行われるように,コンピュータネットワークの世界にも郵便局のような役割を果たすコンピュータが存在し,メールサーバ (mail server)と呼びます.
メールサーバは基本的にドメイン毎に最低一つ存在し,電子メールのやり取りは必ずこのメールサーバを通して行われます.メールを送信する送信サーバ(SMTPサーバなど)と受信する受信サーバ(POPサーバなど)と区別して呼ぶ場合もありますが,実際は一つのメールサーバが送信と受信の両方の役割を兼ねている場合が多いです.SFCの場合も送信・受信共に,mail.sfc.keio.ac.jpという名前のメールサーバによって行われています.
(3) メールクライアント(メールソフト)
コンピュータで文章を書くためにemacsというソフトを使うように,電子メールをやり取りするためにも専用のソフトが必要です.
代表的なものとして,Unixで動くmew や Wanderlust.Windowsで動く,Becky! や AL-Mail, OutlookExpress.Macで動く Mail などがあります.情報処理の授業ではWanderlustを例に説明していきますが,各自の自分の環境や好みに応じたメールクライアント(メールソフト)を選んで使用してください.
メールクライアント(メールソフト)を使うためは,最低でも使う人のメールアドレスと,送信・受信メールサーバの名前を登録しておく必要があります.
電子メールの仕組み
プロトコル
コンピュータネットワーク上で情報を通信するためにはそれぞれについて,通信上の約束事があります.この約束事のことをプロトコルと呼びます.(詳しくは第5週コンピュータネットワークで学びます)電子メールの場合は送信と受信にそれぞれプロトコルが存在し,送信の場合は通常SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)というプロトコルを,受信の場合はPOP (Post Office Protocol)というプロトコルを使用しています.
受信の際に使われるPOPは暗号化の方式によってAPOP,POP over SSLなど様々な種類があり,メールソフトによって対応する方式が違うので注意してください.CNSではよりセキュリティの高いAPOPを使用しています.詳しくはITCのページを参照してください.
送信
- ユーザが電子メールを送信すると,その情報は手元のコンピュータからまずメールサーバに送られます.
- メールサーバは宛先を調べ,もしそれが自分の組織内の人である場合には,自分のところに貯めておきます.
- 宛先が別組織の場合には,その組織を管理しているメールサーバを探しだし,そこにメールを転送します.
受信
- メールサーバは自分の組織宛のメールが届くと,それを各ユーザのメールボックスに振り分けます.この時点でメールのデータはメールサーバにあり,ユーザはまだメールが届いたことを知りません.
- ユーザがメールソフトを起動し,メール受信の操作をすると,メールサーバに自分宛のメールが届いているかどうかを聞きに行きます.(Wanderlustの場合は起動するだけでメールサーバに問い合わせを始める.)
- メールが届いている場合には,メールサーバはメールをユーザのコンピュータへ内容を転送し,そのユーザのメールボックスを空にします.
同じ人が複数のコンピュータからPOPでアクセスすると,そのたびにメールが別々のコンピュータに取り込まれてしまい,ばらばらになってしまいます.例えば大学のコンピュータと自宅のコンピュータとで交互にPOPでアクセスすると,メールはそれぞれのコンピュータに分散してしまいます.そこで普通はいずれか1台を除いて「メールをサーバに残す」という設定をメールソフトで行っておき,メールがばらばらになってしまうのを防ぎます.