2.2 タイピング
みなさんの中にはまだキーボード操作がなれていなくて,いちいちキーを捜しながら入力している人もいるかと思います.しかしそのままでは,この先電子メールやレポートなどで長い文章を書いたり,プログラミングなどで長時間キー操作を続けるのは大変です.このために必要となってくるのが,タイピング(typing)です.キーボード上のキーそれぞれを押す指は予め決まっており,全ての指を効率よく使うことで円滑なキー操作を目指します.
タッチタイピングは,コンピュータを使う時の基本操作で最も重要なものです.難しいように思われていますが,集中して練習すれば,1時間程度で英文が打てるようになります.また,タッチタイピングができるようになると,キーボードを毎日使っているうちに自然に上達して,半年もたつと英文で300字/分,日本文で150字/分位の速度で入力できるようになります.キーボードを見て打っていると,早そうに見えても,その半分以下の速度でしか入力できません.その上,目を酷使することになります.
-ポイント-
タッチタイピングを習得するには,正しい方法で意識を集中して練習する必要があります.以下に,そのための方法を説明します.ポイントは,
- 姿勢を正しく,リラックスして打鍵動作に集中する
- ホーム・ポジションを基準に一定の指使いで打鍵する
- 打つ文字を意識して打鍵する
の3点です.以上は必ず守らなければ上達しない重要なポイントです.
まず,姿勢ですが,図1に示すように,背筋を伸ばし,楽に打鍵できるようにして下さい.
次に,ホーム・ポジション(HP)を覚えて下さい.HPに手を置くと,両手の人指し指の間にGHのキーが見えるはずです(図2).
ホーム・ポジションを基準にして,図3に示される指使いで,打鍵を行ないます.その時,手の形に気をつけて下さい.
図4に示されるように,掌を丸くして,卵をにぎるような感じにして打ちます.爪を伸ばしていると,打ちにくいです.
ホームポジションのキーはその場で打てますが,その他のキーは,指を伸ばして打つ必要があります.上段のキーを打つ場合は,キーを打つ手全体を上の段に移動します(図5).
この時,打たない方の手はHPに残したままにして,打ち終ったらこの手の位置をたよりに,打った手をHPにもどします.下段のキーを打つ時も同様に手全体を移動して打ちます.
タイプ練習の本には,打つ手の指をどれかHPに残したまま,打つ指を伸ばして打つように書いたものがあります.これによって,確実にHPにもどすことができるという考え方ですが,残した指でうっかり打鍵してしまうなどの副作用が起こりがちで,難しい打ち方です.これができる人はこのような打ち方でもかまいませんが,初めての人には勧められません.
ホーム段以外のキーを打つ時,手首をパソコン上に置いたまま指を伸ばして打つ人がよくいます.これでも打てますが,指の打つための腕の内部の機構が酷使されることになります.手の大きい人は影響が少ないですが,小さい人は上に説明したように,手全体を動かした方が楽に確実に打鍵できます.打鍵するためには,肩から始まって,腕全体の腱が指を動かすために使われています.手首を上げて,手全体を動かすと,指を動かす腱の作業が分散されることになります.パームレストというものがありますが,これは,打たない時に手を休めるために置くものです.
-練習法-
タイピングの練習は,キー配列を覚得ることではありません.打てる人はキーを見せて,そのキーでどの文字が打てるかと聞かれても答えられません.この文字を打てと言われると,適切に指が動きます.このように無意識で指が動くようにすることが,練習の目的です.
こうした無意識の動きができるようになるには,打つ文字を意識してそのための打鍵動作を行なうことを繰り返せばよいのです.そのための系統的な方法を授業ではやってみます.全部で40分位練習すると,英字が全て無意識で打てるようになります.
具体的には,次のような練習を行たいます.
JKJ JLJ J;J JHJ JUJ JIJ JOJ JPJ JYJ JMJ J,J J.J J/J JNJ (中段) (上段) (下段) |
最初はJと右手の中段キー,次にJと右手の上段キー,最後にJと右手の下段キーを打たせます.J以外のキーを打つ順は規則的です.次にKと右手のキーを打たせます.
KJK KLK K;K KHK KUK KIK KOK KPK KYK KMK K,K K.K K/K KNK |
このようにして,全てのキーを打って行きます.最初はJの練習ですが,右手の他のキーも予習をすることになります.次のKの練習では,Jを打つことは復習となりますが,他のキーは予習をすることになります.こうして,一つのキーを練習しながら,他のキーを予習または復習することになります.これを全てのキーについて練習すれば,約40分でキーを思い浮べただけで,指が動くようになります.
このように簡単に覚えられるのですが,使わないでいると,すぐに忘れてしまいます.定着するまで,TUTタッチタイピングなどの練習ソフトをできるだけ毎日練習しましょう.2,3週間も練習すれば十分です.
-TUTタッチタイピングの練習法-
TUTタッチタイピング(%tuttt で使える)は,実際の英単語を使って,5時間の練習でタッチタイピングができるようになる練習ソフトです.最初はdefr(左手)i(右手)の5文字だけを練習します.この5文字の位置を覚えたら,それについて1分間の練習を8回繰り返して,無意識でこの5文字が打てるようにします.
8回の繰り返しのうち,最初の1回目はとにかく打ってみます.次の4回は間違いを気にせずに,どんどん打ち進めます.ソフトは1分間たつと,打った結果を表示します.打っている最中は,どの文字を打てばよいかを示すカーソルが動いていくだけで,練習者が打った文字は表示されません.
打った結果が表示されたら,間違えて打った単語が分るので,それだけを画面の下の表示欄で練習します.間違えた単語がスムーズに打てるようになるまで練習します.間違った単語が全部スムーズに打てるようになったら,次の1分間の練習を行ないます.これを繰り返します.8回の繰り返しのうち,最後の3回はスピードを落として正確に打てるよう練習します.
注意自分が間違えた単語のやりなおし練習を飛ばして次の練習へ行ってしまってはタイピングは全く上達せず練習の意味がありません.1回の練習が終わった後は必ず間違いなおしをするようにしましょう.
11課以後は,全ての文字を使った練習です.これらの練習テキストを「正字で120字/分以上の速度,誤字は5字以内」で打てることが練習の目標です.これが達成されるころには,文字を自由に打てるようになっているはずです.さらにタイピング作業を続けていると,単語単位で打鍵するようになり,語を意識しただけで,綴を意識しないで指が自然に動くようになります.
-タイピング練習ソフトウェアについて-
「TUTタッチタイピング」と「裕美子先生」の2つのソフトウェアが用意されています. 前者は豊橋技術科学大学で開発されたものです.後者はオムロン(株)でもともと開発されたものを許可を得て慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで変更を加えたものです.正しい練習のポイント 手を見ないで打つ.そのために,指使いを一定にする.打っている文字を意識しながら,手を動かす.キーボードは手を見ずに使っていれば,自然に上達します.上達すると,単語のつづりを意識しないで,指が自動的に動くようになります.「裕美子先生」では得点が表示されます. 60点とれて手を見ないで打てるようになったら先に進みましょう.
- 「TUTタッチタイピング」の起動
マウスを使って端末ウインドウをアクティブにしてから,tuttt と入力します.
% tuttt |
ここで,Enter キーを押します.すると端末ウィンドウに次のように表示されます.
これ以後は画面の指示に従って練習を進めてください.
- 「裕美子先生」の起動
マウスを使って端末ウインドウをアクティブにしてから,yumiko と入力します.
% yumiko |
すると端末ウィンドウに次のように表示されます.
これ以後は画面の指示に従って練習を進めてください.