0.1 はじめに
この科目の目的
WEBページ制作を題材として,デジタルコンテンツ開発で必要とされる企画,設計,製作,評価能力の基礎を育成すること
背景
情報技術の発展に伴い,現在ではコンピュータやWEBを利用した様々なデジタルコンテンツが制作,提供されています.企業や大学等の大規模な組織のみならず,個人レベルにおいても様々なWEBコンテンツやソフトウェアを制作し,広く社会に提供することが可能となりました.しかしながら,社会に溢れているそれら多くのデジタルコンテンツのなかには,ユーザに対して有益なサービスを提供しているとは言い難いものも多く存在しています.社会に氾濫しているデジタルコンテンツのなかには,ユーザにとって有益なサービスを提供するためではなく,単に自己満足のために制作されたものも少なくありません.
このような現状の背景として,第一に,ユーザにとって有益なデジタルコンテンツを制作することの意義が,一般によく理解されていないことが挙げられます.第二に,優れたデジタルコンテンツを制作するために必要とされる,基礎的な能力を十分に習得したコンテンツ制作者が少ないということが挙げられます.ここでいう基礎的能力とは,主に「企画」「設計」「製作」「評価」の4つの能力を指します.
「情報処理」では,ユーザにとって有益なデジタルコンテンツを制作することの意義を皆さんにに理解してもらった上で,WEBページの制作過程を通して「企画」「設計」「製作」「評価」能力の基礎を育成します.これらのプロセスは,プログラミング実習を通して学ぶことが可能であすが,初学者にとっては,プログラミングにおける様々な文法規則や知識の習得に相当な労力を注ぐ必要があり,プログラミング実習を通してデジタルコンテンツの開発プロセスを効果的に学習することは困難です.
一方,WEBページを記述するHTML(Hyper Text Markup Language)はプログラミング言語より簡易であり,また,他者にとって価値のある情報を正確に伝えることのできる情報発信能力は,情報化時代におけるメディアリテラシーとして極めて重要であるといえます.「企画」「設計」「製作」「評価」のプロセス全体を通したWEBページの制作を実践することは,そのような能力を身につけるための非常に有意義な訓練となります.これらの理由から,WEBページの制作を「情報処理」の題材として選びました.
この科目の目標
「情報処理」の履修者は,以下の能力を身につけることが期待されます.
- 自分の制作したいWEBページを企画し,企画書としてまとめることができる能力
- 企画書をもとに,WEBページの設計を行うことができる能力
- 設計に基づいたWEBページをHTMLを用いて制作することができる能力
- WEBページの評価を行うことができる能力
このためには,闇雲にコンピュータの操作を「覚える」のではなく,自分が今なぜその操作をしているのか「常に考える」という習慣を身につけてください.最初のうちは新しいことが多い上に,難しいことだらけかもしれませんが,例えば「A」というキーを押すという一つの動作にしても,必ず自分はなぜそうするのか考え,分からなかったら遠慮なく先生やTA/SAに質問して,分からないまま放置することのないように気をつけましょう.