5.2 オペレーティングシステム
コンピュータのCPUやメモリの数は限られたものです.つまり本来ならこれらの資源は1つのプロセスに対してのみしか働くことが出来ないはずです.しかし実際に私達は複数のプログラムを同時に実行しています.これを可能にしているのがオペレーティングシステム(operating system)です.(→概念編:「オペレーティングシステム」)
オペレーティングシステムにはたくさんの種類があります.ソフトを作るときは通常,特定のオペレーティングシステムを想定して作るので,他のオペレーティングシステムを使って動かすことはできません.CNS のほとんどのコンピュー タは UNIX (正確には Solaris)というオペレーティングシステムを使用しています.
UNIX は1969年に最初のバージョンができた,長い歴史を持つオペレーティングシステムです.主として大学や企業の技術部門で使われていて,インターネット技術の多くも UNIX を用いて開発されました.また,その信頼性の高さから, インターネットや企業内ネットワークのサーバ用オペレーティングシステムとしても普及しています.
UNIX にもいろいろな種類がありますが,最近注目を集めているのは,オープ ンソース運動によって開発されたバージョンです.オープンソース運動とは,特定の企業に支配されたソフトではなく,世界中の技術者がボランティアとし て参加し,自分達のためにソフトを作ろうという運動です.このようにしてで きたUNIX として,Linux, FreeBSD があります.特に Linux はパソコン用 OS としても急激に普及しつつあることで話題になっています.
Windows や MacOS など,パソコン用OSは(バージョンによっては違いますが)一人で使うことを前提にしたシングルユーザ(single user)OSです.それに対して UNIX は,大勢で使うことを前提にしたマルチユーザ(multi user)OSです.マルチユーザOSでは,ログインによってユーザを認識し,アクセス権やセキュリティの概念が発達しています.