1.1 レビューとは何か

本書で解説するHCPチャートのレビューとは,「チャートの記述内容が読み手に誤解を与えず, 理解しやすいかどうかを調査し,改善できる部分(1)を 指摘して,その対処案を提案すること」である.

チャートの作成者が十分に理解・納得でき,チャートの改善に役立つレビューとは,以下に示す条件を満たしたものであると考える.

  1. 指摘した不良がどういったものかを分かりやすく説明してある事
  2. 不良が発生した原因を十分に分析してある事
  3. 対処案(1つの場合もあれば,複数ある場合もある)を提示してある事

上記に示した三つの条件の中で,一番重要な条件が1.である. HCPチャートの作成にある程度熟達した者であれば,3.を提示するだけの方が効率が良いように思ってしまうだろう. 不良の説明や原因を提示せず,対処案だけをレビュー結果として示した場合, レビューを受けた者は対処案そのままにチャートを修正することができるが,指摘された不良を十分に理解することが難しい. こうしたレビューを繰り返すだけでは,レビューを受ける者の自己レビュー(2) 能力が育たないため,レビューを受けた者は同じような不良があるチャートの作成を繰り返すだけになってしまうだろう.

レビューを受けた者がレビューによって成長できるように,また熟練者が不便を感じずにレビューをできるようにレビューの方法を工夫する 必要がある.本書では,「不良の分類」を活用してレビューを行う方法を紹介する. 本書で紹介する「不良の分類」をレビューに使用することで,レビュー内容を容易に理解できるように記述でき, レビュアー(3)とレビューを受ける者とのコミュニケーションを円滑にすることも可能になる.

  1. 本書では「不良」と呼ぶ
  2. 自分のチャートを自分でレビューすること
  3. レビューを行う人