1 企画

(文責:岸)

1.1 プロジェクト開始の背景

1.1.1 旧みるみる

2002年度春学期の「大岩研究会2Webアプリケーションの開発」にて、 岸が発案・開発をした「瞬間解答みるみる」(以後「旧みるみる」)というアプリケーションがあった。 本プロジェクトは旧みるいると深く関連がある。 その概要について述べる。



背景

授業において先生は、目の前の生徒が「どのように考えているか」「話を理解しているか」「どんな人たちなのか」など、 生徒のことを知りたい。 よく目にする"全員に質問を投げかけ、挙手での選択式回答を求める"という方法がある。 しかし、この方法は、うまくいかないことが多々ある。 "全く手を挙げない人たち"、"周囲を伺いながら挙手する人たち"、"大人数の生徒を数える困難さ" などが主な原因となるだろう。 現在、SFCの多くの授業で、学生は手元にコンピュータがある状態で授業を受けている。 このような授業では学生の視線はコンピュータのスクリーンに向けられ、 特に先生の質問の投げかけの反応が悪くなっている。 この状態を改善したいと考えた。



内容

生徒の考え(回答)を即座にしっかりと把握し、 生徒の状況に応じた授業提供を助けるためのアプリケーションが旧みるみるである。 具体的な機能は、主に

ことで、 "先生は参生徒(人数,名簿)/生徒の回答の集計(人数,割合,名簿)を把握できる" というものだ。 基本的にはアンケート作成・集計システムであるが、 回答シートの内容が容易である(生徒に対して出題中であっても編集できる)ことにより、 生の授業で違和感なく使えることを目指した。 口頭での質問に対して、アプリケーションで回答するといった使い方を主としている。 また、Webアプリケーションということで、インターネットへのコネクティビティとブラウザさえあれば利用可能である。 近年急速に増えてきている遠隔授業への利用も可能かもしれないとも考えた。

旧みるみるの画面

図 1.1.1.1 旧みるみる-回答欄編集(先生)
図 1.1.1.2 旧みるみる-回答表示(先生)
図 1.1.1.3 旧みるみる-回答(生徒)
図 1.1.1.4 旧みるみる-回答詳細(先生)

1.1.2 新みるみるプロジェクトの開始

2003年度中旬、他大学で情報処理の講師を務めている松澤芳昭氏(以後松澤氏)より、 旧みるみるを使ってみたいとの要望をいただいた。 「第1回目の授業で質問の反応が悪かったために、是非使いたい」とのことだった。 そこで旧みるみるを稼動してみた。 しかしながら、

の点から、すぐに実用できる状態ではなかった。これらを改善したアプリケーションの需要が生まれた。

また、ちょうど岸は昨年度の「瞬間解答みるみる」を使いやすくし、さらに拡張した形で、 授業をリアルタイムでサポートするアプリケーションを開発したいとちょうど考えていた。 2003年度大岩研究会2で、その旨を話すと、阿部、川勝の両者が加わってくれた。

そして、 「生の授業においてWebで情報を集めることで講師の生徒の状況に応じた授業展開を支援するシステムの開発」 という曖昧な企画を掲げ、本プロジェクトはスタートした。

1.2 新みるみるの中身

今年度のみるみるにおいて、 当初は、旧みるみるの更なる拡張を考えていたが、 途中から方針がかわっている。 むしろ旧「みるみる」よりも機能は減っている。 使い勝手を向上させるために、 具体的なシステムの機能は、再考した。 例えば、新システムでは、回答シートという概念はなくなり、 生徒と先生は1つのカレント質問を持つようにした。 また、出題は最短ボタン1クリックでできるようにした。 より、即時性を重視した作りになっている。 そして、実装もゼロからやり直した (本来は、以前のソースコードを利用できるればよいのだが、 旧みるみるは保守・拡張を考えて作られていなかった)。

基本コンセプトは同じだが、中身は生まれ変わっている。 「みるみる」は、使えるソフトウェアの方向に前進した。



新みるみるの画面

図 1.2.1 みるみる-トップページ
図 1.2.2 みるみる-出題(担当者)
図 1.2.3 みるみる-出題通知(学生)
図 1.2.4 みるみる-質問編集(担当者)
図 1.2.5 みるみる-集計回答(担当者)

1.3 企画書

1.3.1 盛りだくさんの企画書

1.3.1.1 最初の企画ミーティング

研究会の企画発表に備え、私たちがミーティングでしたことは、

である。

目的や具体的な実現機能は昨年度及び今年度岸が話していたことがベースである。 実現機能の優先順位を決めたのは挙げた実現機能がたくさんあったためである。 用語に関しては「解答」や「回答」など別表記がメンバー内で使われてきたため統一した。

これらをまとめた、研究会用配付資料をそのままのレイアウトで 図[初回企画書ページ1],図[初回企画書ページ2] に掲載する。 実は、この資料は研究会では不評であった。 そして、私たちも今となっては良い資料とは思っていない。 後に書き直されることとなった。

図 1.3.1.1.1 初回企画書ページ1
図 1.3.1.1.2 初回企画書ページ2

1.3.1.2 初回企画書の欠点

上で示した企画書は、

の両面からまずいところがあった。

まず、内容について触れる。 研究会では「あれもこれもできるで結局何をやるのかわからない」と言う声をいただいた。 企画書では実現機能に優先順位をつけたつもりでいた。 しかし、実際にこの春学期に何をするのかが読みとれない。 また、1つ1つの機能に関しては、その内容を掘り下げておらず、実際どういったものになるかがわからなかった。 松澤氏の意見としては「シンプルで良いから使いやすいものが欲しい」 「座席などとりあえずいらない」という言葉をもらった。 まずい点についてまとめておくと、

ということになるだろう.

次に、企画書の書き方について触れる。 一目見て気がつくと思うが、アンダーラインが引いてあるが、やはり読みづらい。

などが原因と言えよう。 執筆した岸は字をぎっしり詰めた理由として「印刷と配るのが楽なので少ない枚数に納めたかった」と述べたが、 これは企画書を書く目的に反する部分がある。 企画書は相手に企画を認めてもら目的がある(時には予算をつけてもらう)。 即座に企画の魅力を伝える理想的である。インパクトや見た目、読みやすさは重要である。

1.3.2 企画書の清書

初回企画書の読みづらさを解消するため、企画書は書き直すことになった。 初回企画書を担当した岸が引き続き担当し、 他のメンバーにチェックしてもらった。 図[清書企画書表紙]から図[清書企画書ページ3] に清書版企画書をそのままのレイアウトで掲載する。

レイアウトや記述項目は、 松澤氏が以前書いた「ToonTalk WorkShop 実行計画書」という プログラミング講座の企画書を大いに参考にした。 これは参考にと松澤氏から渡されたものである。 ソフトウェアの企画書ではないので、 項目が若干変わっているが、基本的には同じである。 しかしながら、参考資料はA4横向きで、記述した企画書はA4縦向きであった。 これは、普段ワープロソフトで縦向きの資料を作り慣れていたためにおこったが、 このレイアウトには1枚1枚見るときは、横向き紙の方が視界の関係で見やすい旨の指摘を受けた。 また、縦向きにしたことが原因で、まだ字の大きさが小さめで、全体的にやや窮屈に詰め込んだ雰囲気が残っていると感じた。 スケジュールの関係で、横向きに直さなかったが、直した方が見やすくなっただろう。

また、2002年度大岩研究会2資料の 「 企画書の書き方 」も参考にした。

図 1.3.2.1 清書企画書表紙
図 1.3.2.2 清書企画書ページ1
図 1.3.2.3 清書企画書ページ2
図 1.3.2.4 清書企画書ページ3