第1回 CNSの利用


1.1 今週の目標

学習内容

  • UNIXの操作方法の基本であるコマンド入力について学ぶ
  • オンライン教材などWeb上の情報を閲覧するためのWebブラウザの使い方を学ぶ
  • 電子メールを用いたコミュニケーションの方法を学ぶ

学習の目的

今週は第1回目という事で,ブラウザや電子メールを含めたCNSの基本的な利用方法について学習します.これらは今後の情報処理受講の上での前提知識になるだけでなく,SFCにおける研究活動などでも基本とされることですので,内容についてきちんと理解しておく必要があります.

キーワード

コマンド(command),プロンプト(prompt),ブラウザ(browser),URL (Uniform Resource Locator),ブックマーク(bookmark),電子メール(electronic mail),メールアドレス(mail address),メーリングリスト(mailing list),メールサーバ(mail server)

1.2 コマンド

ログインした時に,ディスプレイの左上と右下に現れる端末ウインドウは,コンピュータに命令(コマンド(command)といいます)を入力するためのものです. この端末ウインドウに表示されている,``%'' の文字は,コンピュータがコマンドの入力を待ってますよという印で,プロンプト(prompt)といいます.

CNSのコンピュータはこの端末ウィンドウにコンピュータにさせたい命令内容を入力して、仕事をさせます.

コマンドの例として,現在の日付と時刻を表示するdateというコマンドとカレンダーを表示するcalというコマンドを実行してみましょう.

まず、ウィンドウをアクティブの状態にします.プロンプトの後ろに, date と入力します.

% date
	

ここで,Enter キーを押します.Enter キーを押すことにより,dateというコマンドが実行されます.

% date
2001年04月01日(日)03時30分21秒 JST
	

今度はカレンダーを表示するcalコマンドを実行してみましょう.同様にプロンプトの後に cal と入力し Enter キーを押します.

% cal
     2001年  4月
日 月 火 水 木 金 土
 1  2  3  4  5  6  7
 8  9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
% 

	

するとcalコマンドが実行され,上のように今月のカレンダーが表示されます.

calコマンドには次のような使い方もあります.

特定の月のカレンダーを表示させたい時は,calの後に続けて表示させたいカレンダーの月,そしてSpaceキーを押して空白を1つ空けてから表示させたいカレンダーの年を入力します.

例えば,2000年1月のカレンダーが見たいときは, cal 1 2001 と入力すれば,その月のカレンダーが表示されます.

% cal 1 2001
     2001年  1月
日 月 火 水 木 金 土
    1  2  3  4  5  6
 7  8  9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
% 
	

● 練習問題

calコマンドを使って,自分の生年月日が何曜日なのか調べましょう.

1.3 ブラウザの使い方

インターネットでは様々な情報がいろいろな形で存在します.これらの情報を閲覧したりするためのソフトとしてブラウザ(browser)というものがあります.この授業の講義テキストも,インターネット上に提供されており,このブラウザを使って見ることができます.
この授業では教材を見るにあたって,Mozillaというブラウザを使います.

Mozillaの起動の仕方は2通りあります,

% mozilla &
	

と入力します.しばらく待てば新たなウィンドウが開きます.

注意
起動には時間がかかるので,すぐ開かないからといって,あせらないように.

はじめてmozillaを起動したときには,下のようなダイアログが出て,「Netscape」というブラウザ用のデータを変換して利用するかどうか聞いてくる場合があります.

今回は,「Convert Profile」をクリックしましょう.

Mozillaは無事起動したでしょうか.

mozillaの画像

これからこのmozillaを使用して教材を利用することになります.
ブラウザを使うことで,オンライン (ネットワーク上)にあるテキストはこの教室のコンピュータ以外からでも利用できます.

参照方法

オンラインから参照できる情報の位置を表すのには URL (Uniform Resource Locator)を使います.同じような意味の言葉としてURI (Uniform Resource Identifier)があります.
これらについては,別の回でで詳しく説明します. 教材のURIは「http://ipl.sfc.keio.ac.jp/text/info-2002-4/」となります.

場所

「場所」もしくは「ジャンプ」の右にある欄に その情報のURIが表示されます.またこの欄にURIを入力する(情報の位置を示す)ことで,そのURIに存在する情報を参照することもできます.教材のURIを入力してください.これで教材の最初のページを見ることができます.

文字化け対策

ウェブページを見ていると,文字化けという現象が起こることがあります.Mozillaでは,文字化けの発生を極力押える工夫をすることができます.もし文字化けが起きたら,以下の手順で対応してください.

ブックマーク

頻繁に見るページがある時,一回一回URIを書き込み移動することは非常に手間がかかります.このようなページをブックマーク(bookmark)に登録することで,ブラウザにURIを記憶させることができます.

ページのURIをブックマークに登録する

「ブックマーク」をクリックするとブックマークのリストが表示されます.マウスのボタンを押し続けたまま,自分が表示したいページを選び,ボタンから指を離すと,そのページが表示されます.

● 練習問題

授業の教材ページをブックマークに登録してみましょう.

教材の使い方

ブラウザの終了の仕方

マウスを左上の File のところへ持っていき,一度クリックするとメニューが表示されます.この中の一番下の,「Quit」を選択するとブラウザが終了します.

1.4 メールソフトの使い方

電子メール(electronic mail)は,コンピュータネットワークを使って文章などを相手のコンピュータに届ける仕組みです.省略して単にメールということもあります.電子メールを使うと,キャンパス内だけではなく,インターネットを通して世界中のいろいろな人とコミュニケーションを取ることができます.

電子メールは,SFCでは以下のようなことに活用されています.

電子メールを使うための準備

電子メールはメールサーバというところで管理されています.電子メールを受信したり,送信するときは必ずこのメールサーバにアクセスをしています.そこで電子メールを使うためには,CNSのコンピュータにログインするパスワード以外にこのメールサーバにアクセスするための専用のパスワードを用意しておく必要があります.

パスワードを設定するためには一度メールサーバにログインし直します.

まず,端末ウィンドウで

% hostname
	

として,自分が現在ログインしているコンピュータの名前を確認します.コンピュータの名前はディスプレイにシールで張られているものと一致している(「zux???」になっている:???は3桁の数字)ことを確かめたら,ssh コマンドでメールサーバにログインします.

% ssh mail
	

そうすると以下のように聞いてくるのでyesと入力し,そのあと自分のCNSのパスワードを入力してメールサーバにログインします.

% ssh mail
The authenticity of host 'mail (133.27.4.120)' can't be established.
RSA1 key fingerprint is 14:c2:5e:ec:89:cc:f8:e9:ea:33:d8:4d:b2:22:58:22.
Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? yes
Warning: Permanently added 'mail,133.27.4.120' (RSA1) to the list of known hosts.
t01000tf's passwd: 自分のCNSのパスワード
	

問題なくメールサーバにログインできたでしょうか.確認するには先ほどの hostname コマンドを実行して,``mail"となっていれば良いはずです.

注意
全員が一斉にメールサーバにアクセスするとメールサーバに負荷がかかるので時間差を設けてログインしましょう.

メールサーバにうまくログインできたら,続いて,popauth コマンドでパスワードを設定します.

% popauth
	

電子メール用のパスワードを聞かれるので新しいパスワードを自分で決めて入力してください.入力後再確認を求められるのでもう一度同じパスワードを入力します.何も問題がなければこれで電子メール用のパスワードの設定は完了です.

注意
パスワード入力時は画面に入力している文字が表示されません.ミスをしないよう慎重に入力しましょう.
パスワードはCNSログインに使用するものとは別のものを設定してください.また,CNSのパスワードと同様,忘れると電子メールのやり取りができなくなりますので,パスワードは忘れにくいものにしましょう.

正しくパスワードが設定できたら,次のようにして,メールサーバからログアウトします.

% exit
	

きちっとログアウトできたかどうか,hostname コマンドで再度確認しましょう.ディスプレイのラベル通り``zux???''(???は3桁の数字)になっていればログアウトが完了しています.

電子メールを送る準備

電子メールを書くためには,まずemacsという文章入力のためのソフトを使用します.

メニューの「プログラム(足跡のマーク)」→「アプリケーション」→「Emacs」と選択するか,もしくは端末ウィンドウをアクティブの状態にしてから,

% emacs &
	

とコマンドを打つと,しばらくしてからemacsという下のような新しいウィンドウが現れます.

続いて今度はemacsからメールをやり取りするwanderlustというソフトを起動します.

Emacsのメニューバーから「Tools」→「Read Mail (with wl)」を選択すると起動します.

以下の方法でもwanderlustを起動することができます.

まず,Esc-xと入力します. Esc-x は,「Esc」キーを押してから x を押すことを示しています.
すると,カーソルが1番下,黒い区切りの真下に移動します.この場所をエコーエリアといいます.そのエコーエリアに,続けて,wlと入力し Enter キーを押します.

続いて,エコーエリアで図のようにパスワードを聞いてきますので,先ほど設定したメール用のパスワードを入力してください.

パスワードが正しく入力されると,エコーエリアに「Checking "Desktop" is done.」と表示され以下のようになります.

電子メールを送る

普通の手紙と同様,電子メールにも宛先があります.この宛先のことをメールアドレス(mail address)といい,ユーザー名と組織名を@マークで繋いだ形で表されます.

例: t01000tf@sfc.keio.ac.jp

新しい電子メールを書くには,WanderLustを起動した状態で w を押します.すると画面が変わって,次のような状態になります.


メールは宛先や差出人,送信日時などを示すヘッダ領域と,手紙の中身に相当する本文領域の2つから構成されます.ヘッダ領域はメールを送るために必要な情報がいろいろ書きこまれており,通常メールを送るときに入力するのは相手の宛先と表題のみになります.

宛先
電子メールの宛先には3種類あります.
To :
通常の宛先は「To : 」というところに続けて書きます
Cc :
他人へのメールを控えとして自分にも送信したいときや,本来の宛先ではないけれど,参考のために送りたい場合はCcを使います.例えば,忙しい先生にメールで何か頼んでも忘れられてしまう危険性があるので,先生の秘書またはTA/SAにもコピーを送っておくと,ちゃんとスケジュールに入れてもらえます.このような場合に便利なのが,Cc: (Carbon Copy) です.Toの次の行に,「Cc : 」を自分で書き足し,その後にコピーを送りたい相手のメールアドレスを書きます
Bcc :
Bcc: (Blind Carbon Copy) は Cc: と同じようにコピー を送りますが,発送前に Bcc: の行を削除しますので,受け取った人にはコピーを送ったことがわかりません.ここに自分のログイン名を書いておくと,自分のところにもメールが送られることになり,控えとして後で利用 できます.特にレポートなど重要な送信をするときには利用しましょう.
表題
表題は,次の行のSubject : に続けて書きます.一日に大量のメールを受信する人もいますので,表題はメールの中身を的確に表した分かりやすいものにするのがマナーです.
本文
本文は,「--text follows this line--」の下の行から書き出します.

それでは実際に書いてみましょう.今回は英字のみですが,余裕がある場合は来週のテキスト(→2.4 日本語の入力方法)を参照して日本語で文章を書いてみましょう.

電子メールを書く上で注意すること

メールの文章を書き終えたら,C-c C-cまたは「Tools」→「Send Mail (with wl)」で,メールを送信します.C-c は コントロールキーを押しながら c を押すことを示します.

● 練習問題

隣の席の人から電子メールアドレスを教えてもらい、その人に電子メールを送ってみましょう.

● 練習問題

周りの3人のメールアドレスを教えてもらい,うち一人をTo:に,残りの二人をCc:として電子メールを送りましょう.

送信前にチェック!

  • アドレス(宛先)は正しいですか?
  • ヘッダはありますか?
  • 表題(subject)は正しく入れましたか?
  • 送り主である自分の名前・所属・連絡先(メールアドレスなど)は忘れずに書いてありますか?

電子メールの読み方

届いたメールを読むためには「受信箱」にカーソルを持っていき, Enter を押すと以下のようにメールの一覧が表示されます.

今,メールが届いているかもう一度チェックしたいときには,sを押すと,新しいメールが届いたかどうかを調べて,表示します.

状況によっては,エコーエリアに Range (update): と表示されることがあるので,その場合は allと打った上で,Enter キーを押してください.

自分が読みたいメールのところにカーソルを持っていき,スペースキーを打つと画面が2つに分かれ,下の部分に本文の内容が表示されます.

返信のしかた

送られてきたメールに返事を書くにはどうしたらいいでしょうか?
最初から新しく書きなおすこともできますが,いちいちメールアドレスを入力しなおすのは大変です.また,時には相手が書いてきた文章をそのまま使って返事を書きたいときもあります.
こういう時は返信という機能を使うことができます. 返事を書きたいメールのところにカーソルを持っていってaと打ちます.すると今度は相手のメールアドレスがすでに宛先として記入された状態の新しいメールが出てきます.
またaと打つ替わりにAと打つと,相手のアドレスに加えて,相手のメッセージが頭に「>」マークをつけた状態で表示されます.これを引用といい,「>」マークのことを引用符と言ったりします.引用を全て残すと冗長なことが多いので, 必要のない部分を削除しましょう.

C-k を押すと, カーソルのある位置から,行末までを削除することが出来ます. もう一度押すと,後ろの行を前に詰めます. 何回も押すと,広い範囲を一気に削除できます. ちなみに k は Kill の頭文字です.
注意
自分を含め複数の人に同時に送られたメールに返信する場合,返信先のアドレスには送り主以外に,同じメールが送られた人も入ってしまいます.送り主だけに返事を書きたい場合は,不要な人のアドレスを削除してください.

● 練習問題

自分に送られてきたメールに返事を書いて,送り主に返信してみましょう.

メールの削除

受けとったメールの中には,そのうち不要になるものもあります.このようなメールをいつまでもとっておくと,ファイルを格納しておくところが一杯になってしまい,,新しいファイルを作ることができなくなってしまうので,必要のないメールはこまめに消すようにしましょう.

メールの削除は次のようにします.

  1. メール一覧の中の,削除してしまいたいメールの行にカーソルを持っていき, d を押して,次のように D のマークを付けます.
  2. 他にも削除してしまいたいメールがあれば,それにも同じようにして D のマークを付けます.
  3. 次に, x を押すと, D マークの付いたメールが削除されます.

D マークを間違えて付けてしまった場合には,その行にカーソルを持っていき, u を押すとマークを消すことが出来ます.これで削除の対象でなくなります.

● 練習問題

先程の練習問題で届いたメールを削除しましょう.

メーリングリスト

メールアドレスは必ずしも個人を表しているとは限りません.あるグループのメンバー全員に対してメールを送るようなアドレスをメーリングリスト(mailing list)と言います.

例えば,hattori-group@sfc.keio.ac.jp は服部先生のアドバイザリーグループのメンバー全員のメーリングリストです.

caution注意
メーリングリストは一度に大勢の人にメールが送られてしまいます.個人的な内容を大勢に送りつけるのは迷惑です.メーリングリストにメールを送るときは,内容がメンバー全員に関係のあるものかどうか必ず確認してから送信しましょう.

メールソフトの終了

メールのやり取りが済んだら,メール一覧画面で q を押して,wanderlustを終了します.するとemacsの画面に戻ります.

wanderlustはemacsを直接終了させることで終わらせることもできます.emacsを終了するためには,C-x C-c と続けて入力します.

注意
たくさんのソフトを同時に動かしていると,コンピュータに負担がかかります.用のなくなったソフトはこまめに終了しましょう.

1.5 電子メールの仕組み

メールサーバ

電子メールのやり取りは必ずメールサーバ (mail server)というコンピュータを通して行われます.SFCの場合はITC (Information Technology Center)にメールサーバがあります.

プロトコル

インターネット上で情報を通信するためにはそれぞれについて,通信上の約束事があります.この約束事のことをプロトコルと呼びます.(詳しくは第5回ネットワークで学びます)電子メールの場合は送信と受信にそれぞれプロトコルが存在し,送信の場合は通常SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)というプロトコルを,受信の場合はPOP (Post Office Protocol)というプロトコルを使用しています.

受信の際に使われるPOPは暗号化の方式によってAPOP,POP over SSLなど様々な種類があり,メールソフトによって対応する方式が違うので注意してください.SFCではAPOPを使用しています.詳しくはITCのページを参照してください.

送信

電子メール送信の仕組み
  1. ユーザが電子メールを送信すると,その情報は手元のコンピュータからまずメールサーバに送られます.
  2. メールサーバは宛先を調べ,もしそれが自分の組織内の人である場合には,自分のところに貯めておきます.
  3. 宛先が別組織の場合には,その組織を管理しているメールサーバを探しだし,そこにメールを転送します.

受信

電子メール受信の仕組み
  1. メールサーバは自分の組織宛のメールが届くと,それを各ユーザのメールボックスに振り分けます.この時点でメールのデータはメールサーバにあり,ユーザはまだメールが届いたことを知りません.
  2. ユーザがメールソフトを起動し,メール受信の操作をすると,メールサーバに自分宛のメールが届いているかどうかを聞きに行きます.(Wanderlustの場合は起動するだけでメールサーバに問い合わせを始める.)
  3. メールが届いている場合には,メールサーバはメールをユーザのコンピュータへ内容を転送し,そのユーザのメールボックスを空にします.

同じ人が複数のコンピュータからPOPでアクセスすると,そのたびにメールが別々のコンピュータに取り込まれてしまい,ばらばらになってしまいます.例えば大学のコンピュータと自宅のコンピュータとで交互にPOPでアクセスすると,メールはそれぞれのコンピュータに分散してしまいます.そこで普通はいずれか1台を除いて「メールをサーバに残す」という設定をメールソフトで行っておき,メールがばらばらになってしまうのを防ぎます.