テクニカルライティング みなさんの課題レビュー 良い例 --- ●南雲さんの課題について 相手が何を求めており、どんな点で評価するのかという点がよく考慮されていた。 よく網羅されている。 ミッションが割り出される経緯、根拠があった。 授業レポートという位置づけの文章をを書くにあたり、その授業のミッション、目的をよく考慮している。 →思いつきでないということがわかる 割り出された分析項目の粒度が適当だった。 表と箇条書きのスタイルが、見やすく、実用的。 課題の切れ目、内容の切れ目を意識している。 レポートが全体的に非常に見やすいという点で評価が高い。 1日で書き上げたわりにパフォーマンスがよい。 何を書くべきかが予め整理されているような印象を受ける。 本人談 「文章を書くのにひねり出したというかんじ。文章が長かったのを調節する意味で、文章を減らした」 ※ミッションを複数設定する場合は、その優先順位を決めるとよい。 →他のミッションとの関係を示す ※表現のレベルの問題で、見易さ見にくさが評価を大きく変える →余白の使い方が重要 ※レポートの評価の基準 ・あげられた項目の妥当性 →本当に使えるものか? ・レポートの表現の仕方 →よく整理されていてみやすいか? ※良いレポートは削って作られる。 →いかに削るか、いかに隙間をつくるかが良いレポートをつくる上でのコツ。 --- ●小林さん 分析項目の理由が冒頭にまとめて示されている。 しかしもう少し整理されていてもよかった。 自分のなかで考えをまとめてから分析項目の列挙にかかっている。 →論理的につながっている 要求分析が先であるという必然性が定義してある。 →要求ありき 論理的に物事を割り出す。 →論理の前提が説明されている必要がある 論理的であるという点で評価が高い。 →論理的であれば、システマティックに使える項目になる 冗長性があまりない。 作業課題の出し方がよい。 →粒度がよく考慮されている 独自のパラメータ「時間スペック」 →それぞれの課題にどれだけの時間をさけるか →合理的 余白がよくとられていて、見やすい。 本人談 「とびとびで3日くらいかかった。がーっと書き出して、再構成していくかんじ」 ※実用的かつ漏れなく書かれていることが評価の基準 ※書きっぱなしではなく、書いたものを良く見直して洗練させましょう --- 努力を要する例 --- ●中村さん もう少しディテールに踏み込んで欲しかった。 分析項目が足りない。 ミッションについても同じ。 →「期末レポート」という対象が定まったことはよいが、それを何のために書くかについての記述がない →対象はむしろ自明 作業課題についても詳細度が足りない。 ただしレポートの体裁はきれで見やすい。 →余白、インデントを工夫していた →ただしインデントに関してはもう少し工夫の余地がある --- ●蒲田さん レポートの構成のしかたに問題。 →独自の図を入れるなどして見やすくはしているが、改行がばらばら。 内容も含め、箇条書きの文章をそのまま並べていくような感じで書かれている。 →思考の順番に書かれているような印象を受ける 思考の過程自体は間違っていないが、読む側としては読みづらい。 このような形がよく見られるのはメールの文章。 読む側にとしては、どうしても散漫であるという印象を受けてしまう。 分析項目についても、思いついた単語が並んでいるという印象が否めない。 分析項目をつくるにあたり、コンセプトが決まっているかどうかが重要。 →さもないと機能しない 本人談 「自分なりのチェックリストのような形で考えた」 概念の構造化を見直したほうがよい。 ※ 構造化という発想が見られない方が見られた。 ・具体例A ・具体例B ・具体例C これらを一段高いレベルで包括する。 →抽象化する →分類する 具体例のレベルで終わっていしまっていて、適切な抽象化、分類を行っていない人が多い。 --- ●花本さん 分析項目は少ないが、その理由が詳細に説明。 文章をベースに全てを記述しているところが特徴的。 基本的に良く考えられているが、ひとつ課題。 質的な面に重きをおいて書かれている。 物事を説明する際に、対象を質的・量的側面からバランスよく捉えながら記述すると良い。 いくつかの着眼点について、全てを質的に把握していた。 →質的な捉え方としては非常に優れていた しかし、量的な側面の記述が不足していた。 →レポートの分量、割ける時間 ※ 物事の性質あるいは意味を、 ・質的に捉える→言語で表現する ・量的に捉える→数値で表現する ※大雑把に質的であることが一番良くない →役に立たない --- ●田村さん 傾向として大雑把過ぎる。 しかしもっと問題なのは文章の方。 体言止めをすると、文章が切れてしまう。 →読みにくい ミッションの記述があいまい。 「その準備」とは何か? →どの準備か? →誰が準備するのか?(行為の主体はだれなのか?) ※ 書き手の頭の中で自明のことを文章に反映してしまう人が多かった。 →読み手には書き手の文脈が分からない →読み手が混乱してしまう ※ 体言止めは、文章の呼吸をととのえるもの。 句読点の打ち方は文章の呼吸に大きく関連しているが、これは属人性が高い。 →その人固有のものであるときが多い 客観化されておらず、読み手にしてみれば読みにくいことが多い。 --- ●総評 頭の中をそのまま記述することは避けてください。 →自明なものでも記述する →記述した後で確認する 書かれたあとで削ることはできる。 →あまりに自明である場合 最初からそれをやってしまうと、読み手にとって必要な情報を除いてしまう可能性が高い。 とにかく書いてから、後で見直して、削る。 →書く段階と削る段階を区別すると良い 総合的には、 「物事をきちんと記述して、構成してください」 という単純なコメントにおちつく。 提出していただいたレポートに関しては、先にコメントだけお渡しします。 レポートそのものは成績評価でもつかうので。